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「新築投資」はもう限界? 建設業界「2024年問題」で人件費高騰、現場の悲痛な叫び/楽待

2024/03/20 不動産投資

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建設業の「2024年問題」が住宅事情に深刻な影響をもたらすかもしれない

住む人にとっても、建てる人にとっても、これからの「新築」は今よりも手の届かない存在になっていくのかもしれない

 

PHOTO:papilio / PIXTA

 

建設業の「2024年問題」が住宅事情に深刻な影響をもたらすかもしれない。

 

4月から残業時間の上限規制が建設業界にも適用され、原則として月45時間・年360時間までとなる。

 

残業や休日出勤も多い建設業界。規制適用後には1人当たりの残業時間を削減しながら、これまで通りの件数をこなしていくことになる。

 

そのため、工事現場などに増員が必要となり、人件費の上昇、ひいては建築費の高騰につながると懸念されている。

 

この「2024年問題」が建設会社や不動産投資家にどのように波及していくのだろうか。専門家や現場の声を聞いた。

 

 

 

新築は「今が最後のチャンスかも」?

 

一級建築士の資格を持ち、建設業界歴25年の不動産投資家である田口宏さん。営業に来た大手建設会社の担当者から、人件費の値上がりがどの程度になるか、直接話を聞いたという。

 

「5年前は人件費の単価(日当)が1万5000円ほどでしたが、今では2万円ほどまで上昇しました。働き方改革によって、ここからさらに5万円くらいにまでなるかもしれないという話でした」

 

昨今の材料費の高騰に加え、人件費まで上昇するとなると、建築費は現在よりもさらに高くなっていく可能性を指摘した。

 

「コロナ、ウッドショック、エネルギー問題、半導体問題の時には、材料費が一気に上昇しました。ここ3年ほどで、坪単価(1坪あたりの建築費)は1.5倍くらいに上がっています。私が投資している関西地方では、木造の3階建てで坪単価45万~55万円くらいでしたが、今は60万~70万円くらいになっています。今回の人件費高騰によって、もう100万円超えるのではないかという話もあるくらいです」

 

 

不動産投資家として、自身も数多くの新築物件を手がけてきた田口さん。今後は新築を行うことが難しくなるかもしれないと感じている。

 

「投資家の視点で言うと、今がもしかしたら新築を手掛けられる最後のチャンスかなと思っています。木造に関してはまだ挑戦できる余地はありそうですが、鉄筋コンクリートや鉄骨のファミリー向け新築物件を個人投資家が建てるのは難しくなるのではないかと見ています」

 

建築費の高騰により、新築物件の家賃も高くなって行くと、田口さんは予想する。その結果、新築物件に住めるのが比較的所得の高い人に限定されていくのではないかと考えている。

 

「二分化していくと思うんですよね。収入の高い方は広くて家賃の高い物件、収入の低い方は古くて狭い物件、という具合に。つまり、新築で狭小ワンルームを建てても、住む人がいなくなると思います」

 

 

 

人手不足の痛手、建設業者の倒産増えるか

 

「2024年問題」によってさらなる高騰が予想される建設業界の人件費。

 

足元でも上昇傾向にある人件費は、すでに全国の建設会社の業績を圧迫している。2023年の建設会社の倒産件数は1671件。前年比で38%の増加だ。

 

 

実はこの増加率は、リーマンショック時に並ぶほど。建設会社の倒産事情に詳しい、民間調査会社「帝国データバンク」の内藤修さんによると、背景にはいわゆる「ゼロゼロ融資」の存在があったという。

 

「ゼロゼロ融資」とは、コロナ禍で売上が減少した企業などに対し、実質無利子・無担保で融資を行う仕組みだ。2023年は、この返済が始まったものの返済にあてるお金がなく、経営の先行きが厳しいとのことで事業継続を諦め、倒産に至るというケースが多かったようだ。

 

また、すでに残業規制に対する企業の対応は始まっており、その業績への影響も大きくなってきている現状なのだという。

 

「働き方改革もあって、無理な工期は設定できなくなりました。これによる利益率の悪化、人件費の高騰が起きているのです。また、人手自体を確保できず、案件を受けたくても受けられないとなり、営業機会を損失して事業を諦めざるを得ないパターンもあります」

 

4月1日から残業規制が本格化することで、このような人手不足はさらに加速するだろう。これにより、建設業全体の倒産件数も押し上げられることになると内藤さんは推察する。

 

「2024年、建設業の倒産は約1900件ほどまでに増加すると言われています。仕事自体は取ろうと思えばあるけれども、人手を確保できないという場合があるようです。倒産は、景気が悪い時だけでなく、良いときにも起こりうる。そんな年に2024年はなりそうです」

 

 

では、建設業の倒産が増えることで、社会や私たちの生活にも影響が生じるのだろうか。

 

内藤さんは「裾野が広い産業ですので、各地域経済の景況感の悪化などにつながる可能性はありそうです。各種工事が進む中で、完成時期が後ろ倒しになるような影響も出てくるでしょう」と話した。

 

 

 

「給料を上げるしか無い」現場の声

 

建設業が苦境に立たされる中、人手不足に対応している建設会社も。

 

山形県にある「新庄砕石工業所」管理部長の柿崎赳さんは、YouTubeや各種SNSを駆使し、建設業界について積極的に情報発信している。その甲斐もあってか、人材の確保には困っていないそうだ。

 

「会社を高収益体質にするには、自分たちで職人を育てていくことが重要だと思います。先日も、下請け会社への外注依存をしていた建設会社が倒産したニュースがありました。元請け会社は下請け会社に仕事を振るしかないので、下請け会社の取り合いのような状況下では下請け会社の方が立場が強くなる、という逆転現象も起きています」

 

 

新庄砕石は公共工事をメインに受注している。国が公共工事の積算に使う「労務単価」は右肩上がりだという。これは、建設業界の人手不足による、人件費の高騰を反映している。

 

「労務単価は、東日本大震災の起きた2011年から75%上昇しています。先日公表された2024年の単価も、前年比5.9%の上昇です。インフレ率よりも高い上がり方をしています」

 

インフレ分が工事価格に反映されやすい公共工事と比べ、民間の工事ではその点が考慮されず、苦しんでいる請け負い会社も多いという。

 

「1年前はこの価格でできたという工事も、いざ着工してプロジェクトが進展すると材料費の高騰が想像以上だった、これでは全然ダメだ、赤字工事だ、という事態になることが増えたと同業他社から聞きます」

 

 

新庄砕石では人材確保のため、近年は毎年賃上げを実施している。

 

「人手不足の中ではやはり給料を上げるしかありません。当社では、毎年3〜4%の賃上げを行っています。それもあってか、田舎の中小企業にも関わらず新卒エントリーは200人以上、会社の説明会にも40名弱ほどの参加があります」

 

さらに最新の技術を取り入れ、工期の短縮化などにも取り組んでいるという。

 

「3Dプリンターで、昨年時点で国内最大規模の43メートルの擁壁を作りました。本来は80日かかる工程を、40日に短縮して終わらせることができました」

 

 

今後も倒産に追い込まれる建設会社が増える可能性がある中、自宅やアパートなどを新築する場合、どのように工務店を選べば良いのか。

 

これまで数多くの企業を取材してきた内藤さんは「官報公告に決算公告を出しているか」が1つ評価のポイントになるという。

 

「決算公告を出すのは義務なのですが、意外ときちんと出していない会社も多いです。他にも、わかりやすい例で言えば、会社ホームページがあり、さらに社長の顔写真が掲載されていること。このような会社は、過去の取材経験からして倒産リスクが低い傾向にあったと言えると思います」

 

住む人にとっても、建てる人にとっても、これからの「新築」は今よりも手の届かない存在になっていくのかもしれない。

 

 

 

 

 

引用元:【「新築投資」はもう限界? 建設業界「2024年問題」で人件費高騰、現場の悲痛な叫び |楽待不動産投資新聞 (rakumachi.jp)

 

 

 

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